ICA symposium 2025 Report

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クレイセラピーセミナー開催

2025年3月23日(日)、クレイセラピー業界初となる国際クレイセラピー協会(ICA)主催によるシンポジウム「クレイセラピーの未来と革新 ~クレイセラピー研究最前線~癒しの力を科学する」が、東京渋谷区Atlya参宮橋にて開催されました。
8名のクレイセラピーマスターたちの研究発表がメインとなるこのシンポジウムはオンラインにて生配信され、ICAの新たな歴史を刻むイベントとなりました。
2025年3月1日にICA理事に就任したラース・ソンダーガード氏とマスター講座の専任講師であり、ICA顧問の福島麻紀子先生の基調講演、さらには全登壇者によるパネルディスカッションも含め、多くの参加者に新たな知見と刺激を提供した3時間半にわたるこのシンポジウムについてレポートします。

Keynote Lecture

基調講演

シンポジウムのためにオーストラリアから来日した、ICA理事のラース・ソンダーガード博士とICA顧問の福島麻紀子先生が登壇。​ラース博士は、科学者の目から見たクレイセラピーの歴史と未来への展望を語り、福島先生は、クレイの鉱物学的特性とその応用可能性について科学的視点から解説しました。

ラース・ソンダーガード博士の基調講演サマリー

ラース・ソンダーガード博士の基調講演サマリー

古代の知恵から科学的発見へFrom Ancient Remedy to Scientific Breakthrough: The Journey of the special Green Clay

ラース・ソンダーガード博士は、ICA(国際クレイセラピー協会)の新しいディレクターとして再就任したことを述べ、クレイセラピーへの自身の科学的関心と経緯を紹介しました。講演の中心テーマは「古代の知恵から科学的発見へ」というものでした。

博士は、自らの研究経歴とクレイの科学的研究に至るまでの経緯を説明し、特にクレイが持つ抗菌特性の科学的検証に関わった、フランス人道支援家リーヌ・ブリュネ・ドゥ・クルスーの物語を紹介しました。西アフリカのコートジボワールで蔓延していたブルーリ潰瘍という深刻な病気に対し、彼女が用いたクレイ療法が驚異的な治癒効果を示したことを具体的に挙げました。

医学界から当初懐疑的に見られていたクレイの治癒効果が、最終的にアリゾナ州立大学の研究者らによって科学的に実証され、このグリーンクレイが強力な抗菌作用を持つことが証明された過程を詳しく解説しました。

博士は、この物語を通じて伝統療法と現代科学が融合する重要性を強調し、今後もクレイセラピーのさらなる研究と普及を推進していく決意を示しました。

ICA顧問・福島麻紀子氏の基調講演サマリー

次世代に繋ぐクレイセラピーの知恵と科学Claytherapy Evolution: Bridging Ancient Wisdom and the Science of Tomorrow

国際クレイセラピー協会(ICA)顧問で専任講師の福島麻紀子氏は、「クレイセラピーとは何か」をテーマに基調講演を行いました。福島氏はクレイセラピーが禁忌のないシンプルな自然療法であり、吸収・吸着作用による解毒(デトックス)、炎症鎮静、鎮痛、免疫力増進、細胞再生促進など多様な効果を持つことを解説しました。

クレイの鉱物学的分類や含有ミネラル(シリカ、アルミナ、鉄、カルシウム等)について紹介し、ICAが提供するクレイの特性と安全性が科学的に検証されていることを強調しました。また、クレイセラピーの具体的な応用として、フットケア、フェイスパック、ペットケアなど日常生活に役立つ使用例を示しました。

講演の後半では、次世代のクレイセラピスト育成を目的とした「マスター講座」の概要を説明し、AI時代に求められる創造力や柔軟な思考力、そして科学的根拠に基づく分析力や表現力を身につける重要性を訴えました。福島氏はクレイセラピーを「地球セラピー」と表現し、環境問題や気候変動など人類が直面する課題への貢献の可能性を示唆しました。

Research Presentation

研究発表

ICAマスター講座を修了した8名のクレイセラピストが、自身の研究成果を発表しました。​テーマは、肌の健康、睡眠の質向上、ストレートネックの改善、身体疲労回復効果など、多岐にわたり、クレイセラピーの多様な可能性を示す内容でした。

有川俊子Toshiko Arikawa

【月のリズムで使う大地の恵みクレイ】4種類を用いたフェイスパック4週間継続による肌、睡眠、体と心の変化について

有川俊子さんの発表画像

有川俊子氏(月読みクレイセラピー®代表)は、「月のリズムで使う大地の恵みクレイ」をテーマに、4種類のクレイブレンドを用いたフェイスパックを4週間継続使用した場合の肌、睡眠、体、心の変化について報告しました。研究には30代から70代までの女性104名が参加し、新月、上弦、満月、下弦と月の満ち欠けに合わせ、それぞれ特性の異なるクレイを毎週2回ずつ計8回使用しました。アンケート調査により肌の明るさやうるおい、ハリ、毛穴、シミなどの肌の状態に加え、睡眠の質、体の不調、精神的な状態(疲労感、不安感など)20項目について評価しました。

結果として、全20項目において統計的に有意な改善(p<.001)が見られ、特に肌状態は1週間で大きく改善し、その後も効果が持続しました。また、睡眠や体・心の不調についても継続的な改善傾向が見られました。年代別の分析では、年齢層によって異なる肌の悩みに対しても幅広く改善効果が認められ、年代を問わず効果が期待できると結論付けました。

今後の課題として、月のリズムと心身の関係を数値的に明らかにすることを挙げ、さらなる研究の必要性を示しました。

前島まりMari Maeshima

クレイを使ったストレートネック改善についての実験的研究

前島まりさんの発表画像

前島まり氏は、「クレイを使ったストレートネック改善の実験的研究」をテーマに、クレイの湿布によるストレートネック改善効果を検証しました。実験は合計66名を対象に行われ、一つのグループはクレイ湿布のみ(32名)、もう一つのグループはクレイ湿布とストレッチを併用(34名)しました。

使用したクレイはオーストラリア産のイエロークレイ(モンモリロナイト)で、被験者はクレイ湿布を首に1時間適用しました。ストレッチを併用したグループは、湿布後に指定の首の運動を行いました。評価は写真比較、ストレートネックチェック(SNC)、体感評価を用いて実施されました。

結果、両グループともに改善が認められましたが、ストレッチ併用グループでやや高い改善傾向が示されました。統計的にも有意な改善(p<0.01)が確認され、クレイ湿布の効果として、首の可動域改善、痛み軽減、姿勢改善、美容効果、リラックス効果が報告されました。前島氏は、この実験を通じてクレイがストレートネック改善に有効であると結論付けました。

齋藤陽子Yoko Saito

クレイの温泉療法による睡眠の質の向上について

齋藤陽子さんの発表画像

齋藤陽子氏は、「クレイの温泉療法による睡眠の質の向上」をテーマに、クレイバスが睡眠の質に及ぼす影響を検証しました。研究対象は20代から50代の女性22名で、「通常のお風呂」、「クレイ入りのお風呂」、「クレイ+アロマ入りのお風呂」の3つの条件を比較しました。

使用したクレイはマグネシウムが豊富な「ストレートベージュクレイ(スメクタイト)」とカルシウムが豊富な「ピーチクレイ(ゼオライト)」で、アロマはカモミール、ラベンダー、イランイランを使用しました。入浴は寝る1〜2時間前に15〜20分、38〜40℃で実施しました。

アンケート調査の結果、クレイを使用した入浴後、参加者は睡眠の質改善(寝つきの良さ、起床時のスッキリ感、夜中の覚醒の減少など)を実感しました。また、体のだるさやむくみの軽減、肌質の改善、リラックス効果など、身体的・精神的な改善も報告されました。

結論として、クレイを活用した入浴習慣が、自然で効果的な睡眠改善方法として有効であると齋藤氏は結論付けています。

横山千沙Chisa Yokoyama

陽イオン交換容量作用の異なるクレイと精油による身体疲労回復効果の比較研究

横山千沙さんの発表画像

横山亜衣里氏は、「陽イオン交換容量作用の異なるクレイと精油による身体的疲労回復効果の比較研究」をテーマに研究を行いました。研究の目的は、クレイと精油を用いたマッサージオイルによる最適な疲労回復方法を検証することでした。

研究対象は20代~70代の男女27名で、オーストラリア産ホワイトクレイ(低い陽イオン交換容量)とオーストラリア産ピーチクレイ(高い陽イオン交換容量)、さらに精油(ラベンダー・ユーカリラジアタ・オレンジ)を用いた複数の条件でセルフマッサージを行いました。

結果、即効性では陽イオン交換容量の低いホワイトクレイがやや優れていましたが、持続的な疲労回復には陽イオン交換容量の高いピーチクレイが有効であることが明らかになりました。また、精油とピーチクレイを組み合わせたクレイアロマオイルは即効性、持続性ともに最も優れ、根本的な疲労回復効果が高いことが示されました。

横山氏は、このクレイとアロマを組み合わせたクレイアロマオイルが疲労回復だけでなく、血行促進、むくみ改善、睡眠の質向上、ストレス軽減にも有効であると結論付け、今後さらに科学的根拠を深め、スポーツリハビリや介護、美容分野での活用を目指すとしています。

熊谷理枝Chisa Yokoyama

クレイと生薬を用いた、浮腫などの症状緩和検証~経穴・大椎へのアプローチによる、クレイと中医学の相乗効果~

熊谷理枝さんの発表画像

熊谷理枝氏は、「クレイと生薬を用いた浮腫の緩和検証」をテーマに研究を行いました。

この研究は、フランス産グリーンクレイ(主成分:イライト)と中医学の生薬(陳皮、蓮の葉)を用いて、ツボの一つである「大椎(だいつい)」への湿布が浮腫みの症状緩和にどれほど効果的であるかを検証しました。

研究対象は中国医学協会の研究グループメンバー34名で、生薬湿布、クレイ湿布、生薬とクレイを組み合わせたクレイ生薬湿布をそれぞれ週3回、合計9回行いました。

結果として、どの湿布方法でも浮腫み由来の症状改善が確認されました。特に、生薬とクレイを併用するクレイ生薬湿布では、単独使用と比較しても高い相乗効果が確認され、これまで懸念されていたクレイの吸収・吸着作用による生薬効果の減少は見られませんでした。

熊谷氏は、本研究の結果からクレイと中医学(生薬)の併用が有効であると結論付け、今後クレイと中医学の融合による可能性をさらに探求することを提案しました。

金丸早苗Sanae Kanemaru

クレイスキンケアの年齢別の使用感と肌の変化について

金丸早苗さんの発表画像

金丸早苗氏は「クレイスキンケアの可能性」をテーマに研究を行い、クレイを用いたスキンケアが肌に及ぼす効果を検証しました。使用したクレイは、マグネシウムが豊富でヒアルロン酸の産生を促進するベントナイトクレイ、カルシウムが多く保湿効果が高いピーチクレイ(ゼオライト)、および作用が穏やかなオーストラリア産ホワイトクレイでした。

実験対象は20代~50代の閉経前の女性30名で、4週間にわたり朝晩2回、クレイローションとクレイクリームのみを使用しました。ローションとクリームには、それぞれブレンドクレイ、精製水、グリセリン、ビタミンB5、オリーブスクワラン、ビタミンCオイルなどが含まれました。

結果として、肌のトーンアップやキメ改善、乾燥の軽減、保湿力の向上が報告されました。また、自然派成分で敏感肌にも適しており、シンプルで使いやすいと評価され、多くの参加者が継続使用を希望しました。金丸氏はクレイの持つ自然で肌に優しい特徴を生かしたスキンケアの可能性を示しました。

野村七重Nanae Nomura

クレイセラピーの痒み軽減効果に関する実験的研究

野村七重さんの発表画像

野村七重氏は「クレイの痒み軽減効果に関する実験的研究」をテーマに、ピーチクレイの痒みに対する効果を検証しました。研究対象は30代~50代の女性5名で、4週間にわたり、痒みが生じた際にクレイパウダーやクレイオイルを使用しました。使用したピーチクレイは、ゼオライトを主成分とし、高い吸着作用と豊富なミネラルによる抗炎症作用が期待されています。

研究の結果、全てのケースで痒みの程度や頻度の軽減が認められました。被験者は皮膚の状態が改善され、安心感や予防的効果も感じました。ただし、痒みが強い箇所では継続的な使用が必要であることも示されました。

野村氏は、クレイセラピーが薬剤に代わる自然療法として痒みに悩む人々にとって有望な代替療法であると結論付け、今後は症状別の検証や被験者数の拡大、クレイ成分ごとの作用メカニズム解明が必要であると述べました。

堺谷深詠Mie Sakaiya

クレイ配合オリジナル保湿クリームによる肌の健康向上の可能性と課題

堺谷深詠さんの発表画像

堺谷深詠氏は、「クレイ配合オリジナル保湿クリームによる肌の健康向上の可能性と課題」をテーマに研究を行いました。対象は10代から80代の男女20名で、シロヤマブルークレイ(日本・兵庫県産)、マカダミアオイル、シアバター、ローズウォーター、ローズマリーオイルなどを配合したオリジナル保湿クリームを40日間、毎晩のスキンケア後に使用しました。

研究では事前・事後アンケートと肌の写真比較により評価が行われ、参加者からは保湿効果の向上、シミ・くすみ改善、肌荒れ改善、肌のトーンアップ、脂肪腫の除去などが報告されました。アトピー性皮膚炎や乾燥肌など、異なる肌質の参加者にも改善効果が確認されました。

堺谷氏は、クレイが本来の肌バランスを整え、ターンオーバー周期を考慮した持続的な使用により、ヒーリングや精神的な効果も含めて、幅広い年代において肌の健康向上に役立つ可能性を示しました。

Panel Discussion

パネルディスカッション

クレイセラピーの未来と可能性

登壇者:福島麻紀子(ICA顧問)、ラース・ソンダーガード(ICA理事)、(以下、マスター)有川俊子、前島まり、斎藤陽子、横山千沙、熊谷理枝、金丸早苗、堺谷深詠

ディスカッションの様子

本パネルディスカッションでは、ラース理事、福島先生、そして8名のマスターがこれまでの研究を振り返りながら、クレイセラピーの未来の可能性について話し合いました。

特に興味深かったのは、それぞれのマスターが語った、マスター講座の受講動機や研究を進める過程で直面したリアルな戸惑いや苦労話でした。従来の指導型レッスンとは異なり、マスター講座は受講生自らが仮説を立て、検証し、新たな可能性を探求していくスタイルだったため、ほぼすべてのマスターが、そのプロセスを通じて自身の主体性や創造性を培う貴重な機会になったと実感しているようでした。

さらにラース氏からは、マスター講座における粘土鉱物、解剖学、量子力学、スピリチュアリティなど、セラピーの枠を超えた幅広い学習カリキュラムの素晴らしさについても語っていただきました。

今回のディスカッションを通じて、科学的な研究の推進、多様な応用分野の拡大、国際的な協力がクレイセラピーの未来を切り拓く鍵であることが改めて認識されました。

Future Outlook

今後の展望イメージ

ICAは、今回のシンポジウムを契機に、クレイセラピーのさらなる研究と普及に努めてまいります。​

本シンポジウムにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。​

シンポジウムに関するお問い合わせ

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